Judy 真夜中の偵察手

真夜中に仕事で東海道と中山道をうろうろしています。 ちなみにJudyは彗星という意味です。

桜花と新幹線

生前、桜花のことは忘れられなかったようです。父が、アメリカの宇宙開発計画を描いた映画『ライトスタッフ』(83年公開)を観て、不思議に思っていたことがありました。その中に、世界で初めて音速を超えた「X-1」というロケット飛行機が登場します。X-1が空中で母機から切り離される方式が、まるで桜花だったのです。
桜花も銀河も、終戦直後、アメリカ軍に接収されていました。終戦から2年後の47年、X-1は音速を超えました。その時、操縦したチャック・イェーガーさんが、75年に退役後、80年代になってから来日し、父に会いに来てくださいました。
父はたずねました。
「映画を観て、私がした設計と同じことをアメリカ軍がしているのが不思議でした」
すると、イェーガーさんは、「桜花も銀河も、当時、世界の最高技術でした。アメリカ軍が、三木さんの技術を参考にした可能性があります。」
最近になって、桜花に採用されなかった図面があることが、ニューヨーク州立大学の西山崇准教授の調査でわかりました。それは、桜花に操縦席を緊急脱出させる装置が考えられていたというのです。父は、可能な限り、海軍に逆らってでも、命を大切にしようと考えていたのでしょうか。
新幹線は開業以来、45年以上、乗客の死亡事故はゼロ。新幹線は、現時点で、世界で一番安全な高速鉄道といえるでしょう。父は生前、世界一安全な新幹線を、とても誇りにしていました

世界一安全新幹線を生んだ特攻機「桜花」設計者の十字架 | 玉しき都の泡沫